一人の鑑賞者として、
小説家であろうが、脚本家であろうが、マンガ家であろうが、
監督であろうが、写真家であろうが、すべての表現者に対して、
わたしはこういいたいのである。
「説明するな、描写せよ」と。
話をわかりやすくするために、キャラクターというものについて考えよう。
そやつがどんなやつなのかを、どうやって、他人に見せるか。
へぼな表現者は、そやつに事件を起こさせるのである。
廊下で人にぶつかるなんて具合に。
それで、おっちょこちょいさが表現できたとうぬぼれている。
そんなのは、ただの説明にしかすぎない。
では、上手な人はどうやるか。
とあるシチュエーションで、そやつがどんな振る舞いをするのか、
うまく切り取って、我々に見せてくれるのである。
ほめられて、機嫌を悪くする人の姿を見て、
我々は、そやつが照れ屋であることを知るのである。
そこんとこの違いが、なかなかわからない人がいるから、困る。
で、菅原雅雪というマンガ家がいる。
わたしは、「うしのおっぱい」というマンガでしか、彼を知らない。
しかし断言できる。
彼の描写力は、一流である。
かのマンガに登場するキャラクターたちのリアルさは、
特筆すべきものがある。(つづく) |