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No.148
田渕由美子 たぶちゆみこ
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 全作品リスト by TC(99/3/28)


雪やこんこん ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1976年2月10日 【サイズ】新書版【その他】りぼんマスコットコミックス
【感想】
雪やこんこん
 森下唯には、幼稚園から大学まで一緒の幼なじみの中津川昌平がいる。恋人いる?なんて聞かれたときには、おらんというのもなんなので、幼なじみの昌平の名前をあげることにしている。フォークソング部に所属しているふたりは、今度クラブのコンサートで一緒に演奏することになった。そんなとき、恋人がいるはずの香椎先輩が唯につきあおうと言ってきた。
 恋人とは意識していないけど、ずっと一緒にいる幼なじみとの関係が恋人に変わるまでのお話。でも、恋人同士になっても、ふたりのつきあい方はあんまり変わらないところがいいんだよね。(TC 99/3/28)
ハウスキーパー募集中
 ハウスキーパー募集した画家のデニスンさんのところにやってきたのは、ミリーという小さな女の子。ところが、やることなすこと、失敗ばかり。失敗して、絵は破くは、背広を台無しにするは、夕御飯はカンヅメ。だけど、一生懸命なミリーを見ていると、妙に憎めなくなってしまう。ミリーはデニスンさんのことが好きでハウスキーパーに応募してきたのだった。そんなミリーの告白にも、デニスンさんは笑わずにちゃんと聞いてくれました。ミリーのドジは直りそうにないけれど、ハウスキーパー募集の看板はもう必要ないようです。(TC 99/3/28)
ただいま契約期間中!
 あきらは、「―契約書― 篠路朋緒は同あきらが18歳になるまでその専属アニキであることをここに誓います」という契約書をお兄さんの朋緒に書いてもらうほどのブラコン。ある日、朋緒に女の人から手紙が届く。朋緒がその女の人と会っているところを見たあきらは、朋緒が契約書をやぶってしまったんだと思ってしまう。でも、その女の人は朋緒の本当のお母さんなのでした。 血のつながらない兄と妹ものですね。でも、独身なのに、2人も子供を拾って育ててしまうお母さんがとっても頼もしくていいです。線路脇で自殺しようとしている親子に出会ったときのこのお母さんのカットがとても好きです。いやあ、浪花節ですな。このあたりから、絵が田渕由美子してきます。(TC 99/3/28)
夏色の花
 有沢のんのパパは、のんが通うフィリス女学院の園長です。パパは、のんと結婚させて学園の跡継ぎにするために、新任の教師・江澄を学園に連れてきた。結婚なんてとんでもないと反発するのんでしたが、そんな気持ちとはうらはらに、江澄先生のことを好きになていきます。自分の気持ちに素直になれないのんだったが、のんの友だちのまゆこは江澄先生に猛烈なアタックを開始する。まゆこが先生に強引にキスをしたところを目撃され、江澄先生は学園を去らなくてはいけなくなる。
 苗子系キャラの初めての登場ですね。まぁた、タバコなんかすってます。でも、そんな役回りですね、自分も先生のこと好きなのに、のんに先生を追いかけさせるようにするなんて。(TC 99/3/28)
ライム・ラブ・ストーリー
 行岡嗣美は、電車でよく見かけるすてきな女の人にあこがれていました。しかし、いつしかその女の人の姿を見かけなくなりましたが、しばらくして見かけることができました。その時に、定期を落としてしまいます。定期を届けてくれたその人は、なんと紫小路聖士という男の人だったのです。聖士さんは、お礼にライムと木に登って取ってきたエンジュの花を持っていった嗣美のことをとても気に入ってくれます。でも、友だちのまゆこの「20歳すぎのオトコのハートをものにするための恋愛講座」というアドバイスにしたがって似合わない格好をして次に会いに行った嗣美は、逆にガッカリされてしまいます。でも、その後、いつもの嗣美として会えてめでたしめでたしです。
 おっと、出たぞ、この台詞「美人も才女も魅力的にはちがいないけど、ぼくは子供っぽくてそそっかしいそんな君が大好きなんだ」。オトメチックまんがのある一面はこの台詞に凝縮されています。エンジュの木にワンピースのまま登って枝を取ろうとしている嗣美のカットがかわいいです。(TC 99/3/28)
風色通りのまがりかど
 山藤林子には、予備校に通っている安西周太郎くんという婚約者がいます。毎日、予備校までお昼のお弁当を持っていっています。でも、周太郎くんはいつも頭のいい仲間と難しい話をしていて、林子は会話の輪に入ることができません。自分が周太郎くんの婚約者として似合わないという彼の友だちの話を聞いて、周ちゃんとの婚約を解消しようと、好きな人ができたと嘘をついてしまうのでした。周太郎くんが林子の好きな相手に直談判に行ったので、林子の嘘もすぐばれてしまうんですけどね。
 それにしても変な予備校です。弁当食べながら、マルクス主義について議論していて、「労働論」とか読んでて、園子女史とか呼ばれてて、ありがとうの言葉はダンケってねぇ(嫌みな女や、いつの時代や)。なぜ現役で大学合格していないのか不思議なくらいです(性格で落ちたか)。この作品の続編は、「菜の花キャベツがささやいて」です。(TC 99/3/28) 
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クロッカス咲いたら ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1977年7月10日 【サイズ】新書版【その他】りぼんマスコットコミックス
【感想】
クロッカス咲いたら
 家が喫茶店をやっているふみは、ある朝、喫茶店の扉を勢いよく開けたときに、目の前に知らない男の子がいたのでびっくりして、クロッカスの鉢植えを落として割ってしまった。それがきっかけで、その男の子と知り合いになる。その男の子がくれたお守りのおかげで、期末試験もばっちりできそう。でも、ある日、その男の子が喫茶店できれいな女の子と仲良く話しているのを目撃してしまう。てっきり失恋してしまったふみは、雨の中、傘をさしかけてくれた彼に冷たく当たってしまう。しかし、傘の名前を見て、ふみの誤解は解けました。ふみは、訳をぜんぶ話して、あやまりに行くのでした。
 ああ、うまくかけない。とてもかわいい物語です。ちょっとした誤解がもとで、好きな人にムチャクチャ言ってしまうのですが、すなおに謝りに行って、めでたしめでたしです。(TC 99/3/28)
10年目の夏
 10年たったら一緒に開けようと多紀と史郎の二人で埋めた二つの箱。中には二人の気持ちを書いた紙を入れました。10年後、ふたりはあいかわらず同じ学校に通っています。だけど、多紀が文芸部の先輩に恋をしてからというもの、二人の関係はぎくしゃくしてきました。そして、10年目の夏がやって来ました。ふたりは昔の気持ちを思い出すことができるのでしょうか。(TC 99/3/28)
やさしいかおりのする秋に
 蔵橋いちこは、学校帰りの古本屋で、中田幹という人の書いた一冊の童話に出会う。その本に書かれた物語は、とてもすてきなお話で、いちこの心をすっかりとらえてしまいました。いちこは、作者の中田幹に長い長い手紙を書きました。10日後、思いがけなく、中田さんからのお茶会への招待状を受けとったのでした。中田さんは、大きな屋敷にひとりで住んでいて、ほとんど人を寄せつけないという変わり者といううわさです。だけども、いちこにはやさしくしてくれて、いちこも何度も遊びに行くようになりました。中田さんが、いちこに、2冊目の童話集の挿し絵を描いてみないかと言ってくれました。どうしようかと迷ういちこに、中田さんの本を出すことになる出版社に勤めるお姉ちゃんは、挿し絵を描くのはいいけれど、中田さんを好きになるのはやめなさいと言います。最後に中田さんの童話集が出版されますが…
 このお話がとてもメルヘンだと思います。不思議さや、懐かしさや、切なさがうまくミックスされているすてきなお話ですね。(TC 99/3/28)
HAPPY BOXをあけたのは?
 孤児院で一緒に育ったジヌとアンドルーは、奨学金を受けながら学校に通っています。ジヌは、スペンサー・ブリッグスという見知らぬ人から、破格の報酬で子供の家庭教師を依頼する手紙を受けとりました。ジヌが訪ねていくと、そこは大きなお屋敷で、大人びた少年のティムが出迎えました。ティムは、ジヌのことを姉さんと呼び、自分はジヌの腹違いの弟だと告げました。ジヌは孤児院で自分の父親は彼女が生まれる少し前に死んだと聞かされていました。そして、ティムは自分がうそをついていたと告白しますが、ジヌが孤児院に出した問い合わせの手紙が返ってきて…(TC 99/3/28)
ポーリー・ポエットそばかすななつ
 ロンドンのコヴェントリーパブリックスクールに転校してきたポーリー・ポエットは、時代遅れのファッションに身を包んで、こうもり傘を持った、そばかすいっぱいの女の子。父親からポーリーに悪い虫がつかないように見張ってるようにいわれていたファーンは、アパートのお隣さん。女の子に手の早いウィリアムがポーリーに目を付けたから、ファーンはふたりの後をついてまわります。でも、ポーリーを見ているうちに、ファーンもポーリーのことが好きになってしまいます。しかし、つかのまの自由を許されただけのポーリーはやがて結婚するために家に帰ってしまいます。がらんとしたポーリーの部屋にはポーリーがいつも持ち歩いていたこうもり傘がひとつ。こうもり傘をひらくと、そこには、ポーリーのメッセージが…
 姿形は「赤毛のアン」、ストーリーは「ローマの休日」。だけど、ラストは「ローマの休日」のようにはいかないの。ファーンよ、お姫さまの待つバーミンガムの待つ窓辺に向かって、車を走らせろ。これぞ、少女マンガ。(TC 99/3/28) 
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フランス窓便り ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1978年7月10日 【サイズ】新書版【その他】りぼんマスコットコミックス
【感想】
フランス窓便り Part 1:杏
 白いペンキぬりのフランス窓のあるちいさな家で共同生活をしている3人の女の子のお話です。まずは、杏。初恋の相手で3年間も文通していた本多君に会いに行った杏。本多君とのデートは、うれしいはずなのに、緊張して気疲れしてしまいました。ある日、杏はビワのみを採ろうとしていたところを、本多君の知り合いという牛乳屋さんと出会います。杏はその時苗子のうわっぱりを着ていたので、牛乳屋さんは杏のことを苗子だと勘違いしてしまいます。名前を誤解されたまま、牛乳屋さんといろいろおしゃべりするのは、本多君の時と違って、とても楽しいひとときでした。杏の留守に訪ねてきた牛乳屋さんに杏の嘘がばれてしまいます。杏は、牛乳屋さんに朝一番にあやまろうと一晩中起きていようとするのですが、門の所でいつしか眠ってしまいます。そして朝、牛乳屋さんが、やってきて、眠っている杏におはようを言うのです。
恐らく、田渕由美子さんの作品の中では一番有名で、代表作といえるのかもしれません。素敵な一軒家で暮らす友だちとの共同生活というのには、とても憧れてしまいますよね。この作品を読んでから、私は上着のことを、「うわっぱり」と言うようになってしまいました。(TC 99/3/28)
フランス窓便り Part 2:苗子
 美大に通う苗子は、アザラシみたいなまっくろけの樹原くんに、結婚してくれといきなりプロポーズされてしまいます。だけど、苗子が好きなのは、樹原君といつも一緒にいる帆苅くんの方だったから。でも、帆苅くんには籍は行っていないけど、奥さんがいたのでした。帆苅くんが苗子にそのことを話したと聞いて、樹原君は苗子をなぐさめようと家までやってきますが、30分もいて、「あのな」を2回、「え〜と」を1回だけしか言えずに、帰っていってしまいました。そんな樹原君のやさしさがわかったのか、苗子はちょっと樹原君を見直したようです。(TC 99/3/28)
フランス窓便り Part 3:詮子
 詮子は、その人を初めて見たとき、なんて深い深いひとみの表情なんだろうと思わず見入ってしまいました。それが、樫村有人君との出会いでした。驚いたことは、ある日詮子が落とした定期を拾ってくれた樫村君がいまだかつてだれも読めなかった自分の名前を正しく呼んでくれたこと。実は、樫村君には死んでしまった詮子という名の婚約者がいたことを聞かされる。自分は身代わりとして好かれているんだと思った詮子は、樫村君を避けようとするが、彼は、死んでしまった詮子さんのお墓に行って、詮子のことを愛していると報告してくれるのでした。(TC 99/3/28)
白いカップにお茶の色
 葛美と裕則は仲のいい兄弟。裕則が葛美の家にやって来たのは、葛美が小学4年の時、葛美のお兄さんと裕則のお姉さんが結婚したから。その後、兄さん夫婦が事故で死亡してしまったため、そのまま葛美の家に引き取ることになった。その後、ふたりは仲の良い姉弟として大きくなって、ふたりとも同じ大学に進んだ。裕則はモテるのだが、もう好きな女の子がいると言っては、女の子とつきあおうとはしなかった。葛美も、女子学生憧れの的である喫茶店のマスターと親しくなる。しかし、その一方で、弟として一緒に育ってきた裕則のことも意識し始めるのだった。さて、葛美の見たかった映画「愛の花咲く頃」を葛美は誰と一緒に見るのでしょうか。
 血のつながっていない姉とひとつ下の弟との恋のお話です。「156センチのゴミクズをおいこすのが夢だった」という裕則くんは、かなり前から葛美のことを意識していたみたいですね。映画館のキングゴジラのポスターの前で、がおーと口を開ける葛美のカットがお気に入りです。(TC 99/3/28)
ローズ・ラベンダー・ポプリ
 中里麦子には、幾島静という幼なじみがいる。幾島静はかっこよくて、頭が良くて、すごく女の子にモテる。それにひきかえ、麦子は「チビで、チンクシャで、ドキンガンで、ガリベンしたってできないヘンテコリンな―(本人談)」で、強いコンプレックスは持っていることもあって、静にも素直になれずに、いつもつっかかってばかりいます。ある日、麦子が歩道橋の階段から静の上に落っこちて静がケガをしたことから、静と悪友たち予備校仲間は隣のお寺で合宿をすることになりました。責任を感じてお手伝いをすると言い出した麦子ですが、美人の永浦典子女史がやってきて、麦子の気持ちをかきまわすのでした。嫉妬してケンカのようにしてお寺を飛び出していった麦子だが、これも静がもっと積極的に麦子に迫れるようにと悪友たちみんなで考えた作戦なのでした。静が麦子を探しに行こうとしたところに、素直になって謝ろうと帰ってきた麦子が立っていました。
 どんどんかっこよくなっていく幼なじみと、すなおになれない女の子のオトメチックな恋のお話です。いやいや、うれしはずかし、いつものパターンをご堪能ください。ゲストで、私が大好きなフラワールームのさっちゃんが出ていますね。(TC 99/3/28) 
嗚呼! た・・・・田渕由美子!!太刀掛秀子・陸奥A子とともに,『りぼん』の黄金時代を築いた乙女ちっくマンガの巨匠ですね!大好きでした。とくに『フランス窓便り』『あなたに・・・』・・・・うう・・・なつかしい・・・・あのトンボメガネに時代を感じます(^^;;)。いま1冊も手元にありませんが,ぜひ再読したい作家さんのひとりです。いまでもお描きになっているんですねぇ・・・・それも育児コミックとは・・・・月日は百代の過客にして・・・・・・・(°°)(yoshir99/4/4)
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林檎ものがたり ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1979年7月19日 【サイズ】新書版【その他】りぼんマスコットコミックス
【感想】
林檎ものがたり EPISODE I
 芸能情報誌妙情の編集者の霜山行介は、買物帰りに袋から落として転がった林檎を拾ってもらったことから、やすみと知り合う。御化粧していない笑った顔がきらきらしていると恋の予感を感じた行介だったが、やすみは行介の隣の若い男の部屋に合い鍵で入ってしまう。それ以来、ときどき偶然に出会っては楽しくおしゃべりをするのだが、行介には隣の男が気になってしかたがない。行介が思い切って、そのことを聞くと、兄ですとやすみは答えた。安心する行介だったが、隣の男とやすみが「愛のデュエット」として売り出したカップルであることを知ってしまう。行介は、やすみにだまされたと思って、酒を飲んで荒れるのだが…
 やすみちゃんは、屈託がないという言葉がとても似合う、自然で明るい女の子ですね。赤い林檎がころころ転がって出会って、それが恋に発展するなんて、なんて素敵な偶然なんでしょうね。まんがみたい(だからまんがだって)。(TC 99/3/28)
林檎ものがたり EPISODE II
 学生新聞に載ったまゆこの写真に一目惚れをしたのは、帽子男の結城君平くん。まゆこを見つけるなり、まゆこのことを弘前特産のリンゴに似ているという最悪の第一印象を残し、その後もまゆこの行くところについて回って、おまけに結婚を前提につきあってくれと言い出す始末。まゆこがあきれても怒っても、帽子男はどこでもついてくる。しかし、まゆこがきつく怒った次の日から帽子男の姿が見えなくなった。うっとおしかったけど、いつもいつも側にいたものがいないというのは、なんとなくさびしく、挙げ句の果てに、まゆこの方が帽子男の姿を探してしまう。3日間の不在の後、帽子男は帰ってきました。ラブレターがわりのリンゴをおみやげに。(TC 99/3/28)
林檎ものがたり EPISODE III
 納所めいは、友だちの冬美に誘われて、大学のサークルの野草を食べようという「ナベの会」に入る。部室で出会ったかっこいい埜木くんは、初対面だというのに、驚いたようにめいの顔をじっと見つめていました。埜木君はモテるのですが、ほとんど話したこともないめいのことが好きだと言います。一目ボレなんて信じないというめいに、埜木君は、ことばをかわさなくてもほほえみかけなくても、あっこの子だと思う感じ…それは一目惚れじゃないと思うんだと言います。埜木君のいう直感というのは、果たしてどういうものなのでしょう。
 いやぁ、これもえらく時間のかかった恋のお話でしたね。林檎は雪ダルマの目になって登場します。林檎の目をした雪ダルマって、確かにいいかもしんない。(TC 99/3/28)
ブルー・グリーン・メロディ
 私立探偵社に勤めるウォード・スクリプターは、一人暮らしをするお金持ちのお嬢さんレスリー・コールのボディーガードをすることになった。所長のアイデアでは、ウォードがレスリーの恋人になってしまえば、悪い虫もつかないだろうというものだった。しかし、ウォードは到着早々、レスリーと大げんかをしてしまう。ウォードはレスリーを尾行するが、すぐにばれて、ついでに仲直りもして、一緒に行動するようになる。ある日、田舎からレスリーの婚約者が訪ねてくると、ウォードは自分がレスリーを愛し始めていることに気づき、所長にこの仕事からおろしてくれるように頼む。しかし、所長の書いたシナリオをレスリーに見られ、「さよならたんていさん」と書き残して、田舎に帰ってしまおうとするが…(TC 99/3/28)
野の花キャベツがささやいて
 安西林子は、同い年で大学生の周太郎君と結婚して、炊事場が共同のボロアパートで暮らしています。もっとましなアパートに移りたいと思って、アルバイトを増やした周太郎だが、学校とバイトで、10時より早く帰ってこれるのは土曜日だけになってしまった。これじゃ、忙しすぎて、周ちゃんが病気になってしまうと心配する林子。なんだか、最近、周ちゃんもいらいらしているみたいだし。林子はいいアパートに移れなくても、周ちゃんさえいればよかったのに。
 林子ちゃんがとてもいじらしくてかわいいですね。いつもはおしゃれでかわいい生活を描いていますが、その頃、田渕さんが住んでいたのはまさにこんなアパートだったわけです。フランス窓便りとえらいギャップですね。(TC 99/3/28) 
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夏からの手紙 ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1980年7月20日 【サイズ】新書版【その他】りぼんマスコットコミックス
【感想】
夏からの手紙
 学年トップの成績の優等生・川口藤菜は、藤菜のことを「委員長」と気軽に声をかけてくる藤田くんのことが好きです。でも、藤菜は会うと憎まれ口をきいてしまい、素直になれません。そして、気持ちをうちあけられぬまま、藤田くんは北海道に転校してしまいます。そして、早聖大学のシネマ研究会の上映会に、思い出の映画を見に来た藤菜は、そこで藤田くんに再会します。今度は、素直に自分の気持ちを伝えることができるのでしょうか。そう簡単にはいかないんですけどね。
 自分の気持ちとはうらはらに素直になれないメガネの委員長がとってもかわいいです。キャンパスの雰囲気がよく出ていて、憧れたものです。これを読んで以来、私はゆで卵を頭で割るようになってしまいました。(TC 99/3/28)
あなたに…
 函崎詩史は、中学の時は、絵を描くのが好きな、あまり男の子とは口をきくこともない、おとなしい女の子だった。だけど、ときおりむしょうに言葉をかわしたくなる気になる男の子がいた。樹生一行は、詩史のお気に入りの場所である高台で、詩史と同じように美しい夕焼けを眺めて涙を流していたこともあった。高校進学ともに離ればなれになったが、それからもずっと彼のことは心の中に残っていた。高校生になって、友だちのお兄さんとつきあうようになってからも。そして、美大生になった詩史にところに、樹生が訪ねてくる。
 同じものを美しいと思えるということはとても大事なことだと思います。そんな相手だから、他の人より、絶対理解し合えるなんて思ったりするのですというお話かな。ふたりが偶然同じ夕日を見ていたときから、結末は決まったようなものです。「ぶ〜け」の総集編に載っていたこの作品が、私にとっての初めての田渕さんの作品でした。とても女の子の絵がかわいいなと思ったのが第一印象でした。これを読んで以来、私は小雨の時はぬれて歩くのが好きになってしまいました。(TC 99/3/28)
雨の糸つむいで
 京都の大学を目指していた有田未明は、いとこからもらった参考書の中にはさんであった1枚の写真に魔法を欠けられてしまった。「枯野館の庭先にて―下宿屋の娘」と書かれた写真には、ふりそそぐ雨の中の長い髪の少女が写っていた。未明は見事志望校に合格し、部屋も見ずに枯野館に下宿することを決めた。下宿屋の女の子・藍子はおしとやかな第一印象のとはかなり異なり、ずけずけとものを言うような女の子だった。でも、一年間藍子の写真に片想いをしつづけた未明にとっては、藍子の明るい笑顔は、他の誰よりも素敵なものなのです。
 「自分にコンプレックスを持っている女の子に、そのままの君が好きと、かっこいい男の子に自己を全面的に肯定してもらう」というオトメチック少女マンガの黄金パターンのひとつですね(↑の「夏からの手紙」もそう)。藍子ちゃんはとってもかわいいです。着物を着て京都の町を歩いているときも、下宿屋で雨にあわてて洗濯物を取り込んでいるときも。私は、高校3年の秋にこの作品を読んで、志望校を下宿ができる遠くの大学に変更しました。そして、浪人の時は京都の大学を目指しました。ふたつともかないませんでしたが、いまではこの作品と共にいいおもいでとなっています。この作品を読んで以来、散歩の時の擬音は、「ぽこぽこ」といいます。(TC 99/3/28)
百日目のひゃくにちそう
 雨帖柊子は、枝田嗣郎の声を初めて聞いたとき、あまりの驚きで受話器を取り落としてしまった。それほど、声が似ていたのだった。高校生の時、自分の目の前で交通事故で逝ってしまった支倉くんの声に。同じ大学で再会したふたりはつきあうようになる。しかし、柊子が昔つきあっていた支倉くんと、同じ声をしているということが、枝田に知られ、支倉の身代わりとしてつきあっていたのかと責められる。走り出した枝田の前にあの時と同じ赤い乗用車が来たとき、柊子は思わず「だめわたらないで、支倉くん」と声をかけてしまう。でも、今好きなのは死んでしまった支倉くんではなく、目の前にいる枝田だったのに。
 あいかわらず、田渕さんの描くメガネの女の子はかわいいものです。いやそんなことより、ひゃくにちそうの花言葉は「亡き人を思う」です。恋人が突然逝ってしまったことによるトラウマの残る女の子が、新しい恋を見つける物語はとても好きなテーマのひとつです。(TC 99/3/28)
   田渕由美子さんには作品は学生の時(20年くらい前……だな)はまってました。この「雨の糸つむいで」は特に印象深く、私のイメージは京都イコール嵯峨野。先日、この暑い最中、京都に行った際も、独り嵯峨野を一日ぶらついておりました。ところで何やら田渕由美子さんの新作がまたぞろ出たという噂を聞き、探してます。情報を知っていたら教えてください。(0109 カズイ)
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あのころの風景 ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1982年4月20日【サイズ】新書版【その他】りぼんマスコットコミックス
【感想】
あのころの風景
 雑賀ゆきは、大学入学の直前、両親を交通事故でなくし、友だちと共同生活をすることになった。引っ越しの時に、変な引っ越し屋のバイト学生・重実朗と出会う。同じ大学であったことから、キャンパスで再会したふたりは、いつしかつきあい始める。
 最初読んだとき結構ショックだったのを覚えています。最後はハッピーエンドなんだけど、ゆきと朗は好き合っているのに結ばれない。好き合ってるのに、自分たちの気持ち以外には障害はないのに、結ばれないというパターンは、いまだに、私にとってはショックを与えます。そう単純じゃないのはわかるけど、好き合ってるのに、なんでやねーんという気持ちになってしまいます。(TC 99/3/28)
聖夜・粉雪ふりしきる
 クリスマスイブの夜、2回目のデートだというのに、山岸君にいきなりふられてしまった執行葉子は、山岸君にあげるつもりだった手編みの帽子をたまたまその場にいた男にあげてしまう。その男、水木祐介は、美大生で、葉子の父である画家の執行匠に会いに来たことから、再会を果たす。そして、ふたりはつきあいだすが、かつて祐介が、父の助手で美人の緑さんとつき合っていたことを知って、自分に自信がなくなってしまう。祐介は、葉子を好きな証拠を見せると言いますが…  この作品を読んでから、雪が降ってくると、口をあけて、ぱくっと雪を食べてしまうようになりました。(TC 99/3/28)
聖★グリーンサラダ
 ありみは、死んだお姉さんの旦那さんだった人、つまり義理のお兄さんの雅志さんと暮らしています。ありみの願いは、お姉ちゃんの身代わりでもいいから、このままずっとお兄さんと一緒に暮らしていけたらいいなということでした。そのために、ありみはお姉ちゃんと同じようにするために、髪をくくって、似たような服を着て、目が悪いのに家では眼鏡もかけずに一生懸命です。でも、おばちゃんに、もし本当に雅志さんに愛されたいと思うなら、お姉ちゃんの身代わり人形のマネなんかしちゃダメと言われたので、髪を切って、洋服もかえて、眼鏡をかえて、ありのままのありみを見てもらおうとします。ちょっとびっくりしたお兄さんでしたが、ショートカットで、トンボメガネで、おっちょこちょいのありみが好きになっていたのでした。
 はいはい、いつものお約束のパターンです。安心して、お読み下さい。こんなまんがばっかり読んでたから、いまだに女の人の化粧は苦手になってしまったんだよな。(TC 99/3/28)
マルメロ・ジャムをひとすくい
 アリスは学校帰りにエマソン通りの小さなドラッグストアに寄るのをとても楽しみにしています。それは、片想い中のセインに会えるからです。でも、セインはとてもモテるので、いつもとりまきの女の子たちに囲まれていて、なかなか言葉をかわすチャンスはめぐってきません。ある日、セインがひとりでいましたが、何か話しかけようと思っても、どきどきしてしまって、なかなか言葉にならないのです。ある日、アリスが落としたジャムのビンをセインが拾ってくれて、セインもアリスのことが気になっていたと言ってくれました。アリスはうれしくて、パイを焼くのですが、結果は無残、黒こげになってしまいました。でも、気を取り直してドラッグストアに行ったのですが、すでに他の女の子が上手に焼いたパイをみんなで食べているところでした。
 お話は、オトメチック王道パターンなのですが、書き文字の使い方がとてもかわいいのと、アリスの動きがミュージカルみたいに大仰でとても楽しいのです。冒頭の「どきどきどきどきどきどきどき」や、紙袋の底が抜ける「ボトボトボトボトッ」、パイの焦げる「ブスブスブスブスブス」とかがいい味だしています。初期の方の作品では、一番好きな作品かな。(TC 99/3/28) 
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浪漫葡萄酒 ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1985年7月20日 【サイズ】新書版【その他】りぼんマスコットコミックス
【感想】
浪漫葡萄酒
 レザントリーワインのCMモデルの小督まみは、実は25歳なのだが、事務所やスポンサーの都合で18歳ということになっている。マイナーな芸能誌のカメラマン・吉行は、中学の時同級生だった彼女のことを見破ってしまう。事務所は、まみの年を勝手に偽らせておいて、ばれそうになる前に今度は記者会見で発表するという。記者会見を前に、まみは行方不明になる。まみは、一番最初に自分のことを見つけてくれた吉行にスクープしてもらいたかったから、逃げて来ちゃったという。結局、記者会見は予定通りに行われて、まみの本当の年にあっと驚き、ワインは売れることになるのです。
 田渕さんらしい小道具だなぁと思うのは、赤いリボンをかけられたワインのラベルに、マジックインキで書かれたへたくそな字のメッセージ「きょうはほんとうにありがとう」というやつ。(TC 99/3/28)
珈琲ブレイク
 大伴林花さんは、大学生になっても、中学の時の同級生・久住くんのことをずっと想っています。今度、久住くんは中学の時の同級生だった青山さんと婚約することになりました。留年した暮林と教室で出会ってから、なんとなく一緒にいることが多くなりました。会うと、久住くんへの片想いをネタにいじめられたりしているのですが、なんとなく気が合うようです。そんなとき、久住くんと同窓会の幹事を引き受けることになって、単純に喜ぶ大伴さんでしたが。
とっても気が合うケンカ友だちというのが見ていて、楽しいですね。憎まれ口聞いていても、一番ほっとするというか。さよなら初恋ですね。(TC 99/3/28)
こさあじゅ
 一深は、幼なじみの鉱ちゃんと結婚したが2日で鉱ちゃんは天国の住人になってしまった。鉱ちゃんの弟の銀ちゃんは、一深が姉ちゃんづらして、仕送りを送ってきたりするのが、気に入らない。だって、銀ちゃんは、一深に姉ちゃんなんかになってほしくなかったから。一深は、勤めている雑誌社の編集長からプロポーズされる。素直になれない銀ちゃんとケンカをしたまま、一深は編集長のプロポーズを受けようとするが、そのとき、銀ちゃんがケガをしたという知らせが入る。
 これは結構好きな作品です。主人公は、働いていて、バツイチです。田渕さんはずっとブランクが長くて、大学生が主人公の作品から、ぽーんととんで、中学生の子供がいる御家庭まんがに一気にとんでしまったけど。こういう大人の年齢の主人公(中身は大人っぽいとは言えないが)のお話もいっぱい読みたいんですけど。むりかなぁ。書いてほしいな。(TC 99/3/28)
花に葉に菜のSpring
 高校生の野中晴は、野鳥が好きな女の子。一人暮らしの晴は、ベランダから双眼鏡で景色を眺めるのが趣味。ある日、ベランダできちんとパンツを干す若い男に目が止まった。その男は、晴の高校の新任教師・森目だった。ケガをした鳥を拾っていたから、始業式に遅刻してしまった。晴は、森目先生が拾ってきた鳥の世話をすることになった。先生の部屋を毎日双眼鏡で覗いているうちに、だんだん先生のことが気になってきます。
 1985年の作品なので、読むとちょっと作風が変わったかなという感じのする作品です。(TC 99/3/28) 
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フランス窓便り ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1990年3月10日 【サイズ】新書版【その他】集英社ガールズコミックス/「フランス窓便り Part 1:杏」「フランス窓便り Part 2:苗子」「フランス窓便り Part 3:詮子」「雪やこんこん」「マルメロ・ジャムをひとすくい」「ライム・ラブ・ストーリー」「クロッカス咲いたら」「夏からの手紙」「ブルー・グリーン・メロディ」「こさあじゅ」、作者のページを収録
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摘みたての野の花 ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】南風社 【発表年】1992年11月15日【サイズ】【その他】田渕由美子全作品集/「ハウスキーパー募集中」「10年目の夏」「イブの窓辺に」「ただいま契約期間中!」「HAPPY BOXをあけたのは?」「夏色の花」「雪やこんこん」「マルメロ・ジャムをひとすくい」「ライム・ラブ・ストーリー」「風色通りのまがりかど」「聖グリーン★サラダ」「クロッカス咲いたら」「ママって不思議」、YUMIKO'S STORY
【感想】
ママって不思議
由香は、ファッションデザイナーをやっているママと二人暮らし。ママは、ちっとこどもっぽくて、あわてんぼうだけど、友だちみたいな素敵なママです。ママは、由香が欲しがっていた着物を自分で縫おうとして努力するが、そんなことを知らない由香に母親失格と言われてしまいます。最後は、誤解が解けて、ふたりは仲直りするのです。(TC 99/3/28)
イブの窓辺に
 貧乏学生の片岡英一が住むオンボロ下宿の隣の部屋に、金髪の女の子ナナが引っ越してきた。英一の部屋とナナの部屋の壁には大きな穴があいていて、ナナはそこから英一に話しかけてくるのだった。ナナは美術展で一席をとるために一生懸命絵を描いていた。一席になったら死んでしまったママの故郷であるフランスに行くことができるから。ナナは、ママと自分を捨てた父を憎もうとしていたが、本当は愛していると、ナナが描いている絵を見た英一にはわかるのだった。そして、美術展で一席に入ったのは…(TC 99/3/28) 
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そよ風の輪舞曲 ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1994年1月30日【サイズ】【その他】田渕由美子全作品集/「フランス窓便り Part 1:杏」「フランス窓便り Part 2:苗子」「フランス窓便り Part 3:詮子」「やさしいかおりのする秋に」「ポーリー・ポエットそばかすななつ」「白いカップにお茶の色」「ローズラベンダー・ポプリ」「林檎ものがたり EPISODE I」「林檎ものがたり EPISODE II」「林檎ものがたり EPISODE III」、YUMIKO'S STORY
【感想】
 期待の「田渕由美子全作品集」でしたが、このあとが出なかった。未収録作品はもう読めないのかと思ったら、後に出た文庫で読めたからまあよしとしよう。しかし、ずらっと並べてみたかったものである。(TC 99/3/28) 
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フランス窓便り ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1996年11月20日【サイズ】文庫版【その他】田集英社文庫 田渕由美子作品集 1
「フランス窓便り Part 1:杏」「フランス窓便り Part 2:苗子」「フランス窓便り Part 3:詮子」「雪やこんこん」「マルメロ・ジャムをひとすくい」「ライム・ラブ・ストーリー」「風色通りのまがりかど」「あなたに…」「ブルー・グリーン・メロディ」
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こさあじゅ ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1996年11月20日【サイズ】文庫版【その他】集英社文庫 田渕由美子作品集 2 「こさあじゅ」「夏からの手紙」「あのころの風景」「浪漫葡萄酒」「セプテンバー・ソング」「珈琲ブレイク」「つかのまの午後」「午前0時のマドモアゼル」
【感想】
セプテンバー・ソング
 「珈琲ブレイク」に出てくる大伴林花さんと久住冬衛くんの中学時代のお話です。大伴さんは、久住くんのことが好きです。でも、いったいどこがいいのかわからないような、それでいて、全部気にいっているような、とにかく、大伴さんは久住くんのことが好きでした。ある日、大伴さんがおとなしいのをいいことに、みんなは運動音痴の林花さんにハンドボールのゴールキーパーを押しつけてしまいます。ゴールキーパーは、顔面にボールが当たって気を失ってしまい、うまく行かなかったけれど、またひとつ、久住くんのことが好きになったようです。(TC 99/3/28)
つかのまの午後
 春子は、年の離れた高遠教授と結婚して3ヶ月たちました。あるお掃除日和の午後、初めて高遠先生の書斎の机を掃除したら、15年前に亡くなってしまった前の奥さんの写真が、大切に本の間に挟まれて出てきました。その写真の女性はとても美人でした。ちょっと自信を無くしてしまった春子でしたが、卒論の査問会場でいきなり高遠先生にプロポーズされてしまったことや、雨が降りしきる中、傘も持たずに先生を追いかけていってしまったときのことなどをいろいろと思い出してしまいました。そんなことを思い出しているうちに、前の奥さんと自分を比べたりするのではなく、わたしも大切な人の心の奥深くあざやかな1枚の写真を残せるようになろうと思うのでした。(TC 99/3/28)
午前0時のマドモアゼル
予備校に通う和田森弦太郎の家に、モリエという女の子が訪ねてきた。弦太郎が店に忘れた本をわざわざ返しに来たのだという。弦太郎にはそんな覚えはなく、彼女も弦太郎のことを弦太郎のお兄さんだと思いこんでいる。彼女は、午前0時になると、あわてて帰っていった。そして、弦太郎の手には、彼女が忘れていった手袋だけが残された。手袋を彼女に返そうと思う弦太郎だが。(TC 99/4/4) 
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チュー坊がふたり ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】スコラ 【発表年】1998年1月16日【サイズ】A5版【その他】スコラLC
【感想】
 田渕さんのお家の日常を漫画にした御家庭コミックです。ふたりの中学生の子供の日常生活を中心に描かれています。掲載誌が「ママンガ」だったし、ちゃんと読まないで、「うちの子かわいい」「子育てバンザイ」のようなアマちゃんな作品を勝手に想像して、「あ〜あ、田渕由美子も育児コミックでお茶を濁すようになってしまったか」とナメとりました。わたくし、ここに懺悔いたします。コミックで読んでみると、これが面白いのなんの。田渕さんって、こんなにユーモアのセンスの豊かな人だったのかと驚いてしまいました。とてもユーモアたっぷりに愛情豊かに描かれている田渕家の様子は、いしいひさいちの描く山田家のようで、とても面白いです。この作品を読んで、もっともっとたくさんの作品を描いてくれたらと、現在の寡作をうれうのでありました。(TC 99/3/28) 
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桃子について ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】1998年8月26日【サイズ】A5版【その他】YOU COMICS SPECIAL VERSION
【感想】
富士山のふもとの遊園地まで、妹夫婦の子供を連れて行くことになった日比野桃子さん。途中渋滞に巻き込まれた桃子さんたちは、渋滞を避けて一般道を行くことにした。が、道に迷ってしまい、山の中で立ち往生しているところに、山歩きの青年・百町と出会う。久しぶりの田渕さんのストーリー漫画です。(TC 99/4/4) 
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何ヵ所か誤字と思われる箇所がありましたので、メールさせていただきます。
1.タイトル一覧
 ・「雨の糸つむいで」は「雨の糸をつむいで」?
2.各作品の詳細
 ・ 白いカップにお茶の色」で"兄さん夫婦が事故で死亡してしまったため"との記載がありますが、おとうさんの葬式の席で、葛美が"ひろちゃんよそにやらないで"とおかあさんに懇願して、"わたしのおとうと"として残ったはず?
 ・「雨の糸つむいで」は「雨の糸をつむいで」?
 ・「そよ風の輪舞曲」の出版社は南風社?
細かいことを並べて申し訳ありません。
自分も大学卒業後、学生時代に読んだ「雨の糸をつむいで」に憧れて京大病院の研修生になり、左京区吉田近衛町に半年住んでいました。懐かしい作品群を読めて、久しぶりにとても心が和みました。(01/03  M.M)