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No.24
岩明 均 いわあきひとし
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寄生獣全10巻 情報・感想お寄せください
【出版社】講談社 【発表年】1巻1990年 【サイズ】B6版【その他】『寄生獣』ドラマ化希望署名運動展開中!(カカ 00/5/28)  //ネタばれあり!よりぬき名場面コーナー へGo!//
【感想】
*映 像化の話も出ただろうが、この作品の力量に勝る作品が出来るとは到底思えない。この作者の独特の視点はいつもながら圧倒される。そして無機質な「寄生獣」 達のあの「目」。とても怖い。(2003/7/8 aksweet)
*楽 しかった。友人に借り、今頃読んだ(遅)。里美とかが「きみ。。泉くんだよね?」っとか「かわった」とかウザイ!!人は変わるんじゃ!!って感じ。あれな きゃいいのに。浦上がよかったな♪会いたくないけどね。(2003/6 くん?)
*話 題作でありながらいままで読まずにいたのはお世辞にも好感がもてるとはいえない表紙のせい。ところが今回読んでみて驚いたのはその不器用な絵柄が、几帳面 な真面目の勝利とでもいうのか意外な効果を生み出していたこと。センスのあるコマ割りや背景があるわけでもないのに、感情のないパラサイトたちはより不気 味に、新一の胸の穴はより痛みをともなって私たちにせまってくる。全巻通して数コマしかない性描写でさえ、そのへんのいやらしい本よりもよほどエロティッ クじゃあないか?私は後藤との戦いは地球上の生き物同士の本能の戦い、浦上とは人間の尊厳をかけた戦いと受け止めました。ミギーもいい感じで登場してくれ るのでこのラストは好きですね。(2003/5 vyom)
*唐 突だが、マンガの場合、主人公がビジュアル的にどーしよーもねーヤツというのはアリなのだろうか?ギャグマンガならともかく、人間の生き死にに関わるよう なシリアスな物語の場合、これは致命的ではなかろうか。この作品の場合、主役の新一に惚れる女性は、村野、加奈、マキちゃん、美津代さん(?)と粒揃いで ある。ここで、新一の外見が「A」だった場合、マキちゃんは新一に興味を示しただろうか?八の字眉毛のロンパリ、への字口が、“すごく”モテる先輩の代わ りになるとはとても思えず、そうなると泊まる場所にも困ってしまい、母(パラサイト=ザコキャラ一匹)を尋ねて三千里の旅へと物語は進路を変えていただろ う。さらに性格が宇野だった場合、加奈は確実に新一には無関心だったろう。そうなると、「食堂」での事件もなく、国家を巻き込んだ広川達との戦争もありえ ない。広川といえば、実は彼が人間であると発覚したシーンで、私は強い疑問を感じていた。広川が新一達の前に初登場した際、ミギーが壇上のパラサイトは6 人と指摘し、新一は広川を含めた全ての人間がパラサイトであると認識している。大友克洋「AKIRA」の無気味な保育園にいる子供の数のように、途中で設 定を変更したのかとその時は興醒めした。しかし、考えてみると後藤はパラサイト5人分である。草野がいたから合わせて6人。季節が変わって、三木が新一達 を襲った後、5人を一人に統一できるようになったのは「最近の話」と後藤に言わせていることから、文字どおり全て計算済みだったのだろう。作者が単行本最 終巻の付記で「計算どおり」と記しているとおり、「名前に無関心」や「胸の穴」等、小道具もみごとにはまっている(パラサイトに寄生されている可能性を考 えて、「“泉”」に「“池”田くん」と呼びかけた平間警部補の思考回路はパラサイト並か?)。しかし、1年足らずの間に2度もあんな事件があったら、ヘボ 探偵が調査するまでもなく、ワイドショーやら拝み屋なんぞを相手に、出店が出るのではないかと思うのだが(受験者数や偏差値はどこまで落ち込むのだろう。 3度目で廃校だろうな)。ここら辺はこの手の話の宿命として突っ込んではいけないところか。最後に、浦上には、純粋な食欲により人間を殺すパラサイトとは 異質な、人間特有の性質である快楽殺人の残虐性をもっと発揮してもらいたかった。後藤が倒され、ミギーも長い眠りに入り、後藤以上のキャラ振りをみせても らいたかったが、あまりにもあっけなさすぎでしょ。これじゃあ。(2002/5 ほのこの堂
*ま とめると「他の生物に寄生することでしか生きられない謎の生命体を「右腕」に宿した高校生の苦悩と戦い」。家人が買ってきたのをうぇー気持ち悪い表紙、な どと思いつつ読み出して、あとは一気。泣いて笑ってはらはらして考えさせられた。寄生生物のラストをどうするか、考えが2転3転した様子を作者が最終巻巻 末で触れている。(雁)
*なんたってミギーがかわいい!!(P)
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七夕の国全4巻 情報・感想お寄せください
【出版社】小学館 【発表年】1巻1997/8 【サイズ】B6版【その他】ビッグスピリッツコミクス
【感想】
 「寄生獣」の読み終わった後とは違った感情がわきまし た。「七夕の国」の感情移入する隙さえあたえないメッセンジャーとしての岩明氏の計算されたストーリー構成には圧巻しました。(0112 浅井)
今やすっかりお気に入りの岩明さん。寄生獣に続くこの作品も、まだ展開は 見えてきませんが期待大です。(雁98/9/5)
(白拍子99/3/22)
「七夕の国」について語るには、どうしても「寄生獣」との比較が必要になります。
まず、「七夕の国」についての率直な感想は、「寄生獣」によって鬼才と呼ばれるほどの作家になれば、当然期 待されてしまう次回作ですが、岩明均はそうした圧力による歪みを主人公・南丸の楽観的な性格のように軽くいなして書きたいように書き、作者なりの視点に よってあっさりとまとめてくれまして、とても楽しく読めました。そうして読み終わって漸く、作者の一番伝えたかったことが、じんわりと伝わり、印象深くな りました。
冒頭の合戦場面でまず、この物語の鍵がいきなり示されます。「見たぞ…」といって倒れる武将の言葉と謎の能 力を使う指を六本持つ覆面の人物です。これは物語が最後まである程度練られていた証拠であり、「寄生獣」のように後から継ぎ足していった結果壮大な主題を 掲げることになり、収拾のつけかたに苦労するのを嫌ったためでしょう。そのため、模索するように物語を盛り上げていった「寄生獣」に対して、「七夕の国」 は最初から主題が提示されます。 この超能力はなんの役に立つのか…
実にわかりやすく身近な主題です。主人公・南丸はこのわけのわからない謎の能力をどうにか生かせないものか ともがき始め、冒頭の合戦が行われた「丸神の里」に辿りつき、物語が展開されますが、「寄生獣」のようにドラマを積み重ねることなく、単刀直入に主題のみ を追っています。そのために登場人物は最初から最後までほとんど変わることなく、読者を盛り上げる、感情移入させやすい展開には至っていません。ですから 「つまらない」という人もいるでしょう。それは仕方ないことだと思います。
「寄生獣」では序盤で母親を死なせて主人公・新一が寄生獣に立ち向かう動機付けを明快にし、さらに新一に超 人的な能力を与えれば、寄生獣との戦闘が今後幾度となく繰り広げられる予感がします。一方の「七夕の国」では戦闘そのものがなりたたない、読んだ人ならわ かりますが、例の能力では地球すら危ないわけで、結果としてセリフによって物語を動かざるを得ないわけです。それだけに後半の急展開は、まさに急展開と感 じてしまう印象を強烈に与えます。ビルを消したり、官邸を消したりすることが出来そうなだけに伏線がないわけではないのですが、南丸の性格の影響もあって か、物語自体がゆっくりな感じです。
さて、南丸青年は就職という現実的な問題を抱えながら、徐々に大きくなる自分の超能力を生かす方法を探りま す。これは丸神町の「領主」丸神頼之が町を離れて同じように能力の使い道を求めるのと並行して描かれ、いずれ出会うであろう二人の未来が多少気がかりにな ります。ですが能力に差がありすぎて勝負にならない感じですし、最後の決戦のようなものはあまり期待できませんでした。
この能力はなんの役に立つのか…。劇中で頻繁に問われながら、さっぱり答えが見つからないもどかしさは、読 者自らに超能力の謎を考えさせる契機になるのですが、連載中では苛立ちに変わりやすいかも知れませんね、まとめて読めば面白いですよ。
そうして山場を迎えるわけですが、すべての謎が氷解しながらもすっきりしないと感じました。それは第四巻一 六九頁最初のコマの多賀谷の思い「ロマンが一気に消し飛んだな」が代弁してくれますので、作者も自覚していたのでしょう。結局宇宙人だったんかいな、と ちょっと拍子抜けしたことはしましたが、「寄生獣」の発端も宇宙(そら)から降ってきた「何か」であることを考えれば、腹を立てるようなことではありませ ん。
作者が伝えたかったことのひとつが丸神頼之と幸子を挟んでの南丸の叫びです。以下に引用します。
「世の中のことテレビでざっと見て、わかった気になったって! そんなのウソだぜ! …中略… 世界 は目で見えている大きさの百倍も千倍も広いんだぜ! それに比べりゃコワイ夢も、見えない鎖も、ハデな超能力も小せいよ! ごくごく一部だよ!」
「寄生獣」では世間の上っ面だけの環境保護に対する作者の憤りが滲んでいました、「七夕の国」では見せかけ (能力)に引きずられて主体性を失っていく世間へのばかばかしさがありそうです。
「寄生獣」はそんな作者の憤りが「人間こそ寄生獣より恐ろしい寄生獣である」という恐ろしい余韻を残しまし た。「七夕の国」はどうか、私見ですが、私は学校で将来なんの役に立つかわからない数々の勉強を思い出しました。実際に勉強したことが役に立つかどうかわ かりません。しかし、そうした勉強によって身についた知識や能力をいかに自分の物として生かすことが出来るかは、やはり自分次第なのです。丸神教授がク ローン技術について話す場面はいささいか唐突の感がありますが、これは人間が得た技術つまり能力をどうつかっていくかは人間ひとりひとりが考えなければな らない問題であり、けして他人事ではないことを訴えているのかもしれません。東丸高志はどうなったでしょうか、彼は超能力の使い道を他人(丸神頼之)に頼 ろうとした結果あっさり死んでしまいました。
南丸青年と丸神頼之は役に立たない超能力をどうするかについて自ら考え、それぞれ全く違う解答を導き出しま したが、どちらも自分にとって最良の道を見つけたに違いありません。二人は答えを選んだのではなく、自分で作ったわけです、窓の向こうに通じる道を、ある いは川を渡る橋を。
ラストシーンの「ようこそ」は、自ら切り開いた道の「入口」で待っていた女神の微笑みのようでした。
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骨の音<傑作集>全1巻 情報・感想お寄せください
【出版社】講談社 【発表年】1990/1 【サイズ】B6版【その他】初期の作品を含む4作「ゴミの海」「未完」「夢が殺す」「指輪の日」「和田山」「骨の音」巻末に特別描きおろし「アシスタント で覚えた事」を収録。 モーニングKC/カバー折り返しに作者写真有。
【感想】初期作品を含む作品集ということでなかなか印象的な一冊。粗削りなままのこの作家の魅力がたっぷり味わえます。(雁98/9/5)
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風子のいる店全4巻 情報・感想お寄せください
【出版社】講談社 【発表年】1巻 1986/12 【サイズ】B6版【その他】モーニングKC/カバー折り返しに作者写真有。「漫画家になってはじめての単行本」だそうです。
【感想】これも初期の作品。飾り気のない絵、派手さはないけど味のある人物たち、淡々とし たストーリー運び。好きだなあ!!(雁98/9/5)巻を追うごとの風子さんの成長…だけ じゃなくて悩みとか考えること、なんだか他人事じゃないよお。(雁98/9/26)4巻入手。これで全巻です。よかった。風子さんは迷いながらだんだん力強くなり、周りの人も含めゆっくりとした時間の 経過とともに少しずつ歩みを進めている感じ。こんな作品に出会うのはなかなか難しそう。大事にしたいです。(雁98/11/1)
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