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No.66
山本直樹 やまもとなおき
*ファンサイト「山本直樹.com」 http://www.yamamotonaoki.com/
欲しくなったので買いに行く ・・・>Amazon.co.jpアソシエイト
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僕らはみんな生きている全4巻 情報・感想お寄せください
【出版社】小学館 【発表年】1巻1993/1 【サイズ】B6版【その他】ビッグコミックス/原作 一色伸幸
【感想】
*恐らく中央アジア辺りをイメージしたであろう架空の開発途上国タルキスタンを舞台にジャパニーズ・ビジネスマンの悲哀やODAの矛盾や内戦と革命の中に生きる民衆の生活などを通し人間の本質をえぐる著者独特のシニカルな作品。ラストをどうとらえるかは読み人しだい。(和了99/11/7)
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ありがとう 全4巻 情報・感想お寄せください
【出版社】小学館 【発表年】1巻1993/12 【サイズ】B6版【その他】ビッグコミックス
【感想】
  この物語は、壊れた家族の修復劇だ。 徐々に、壊れていっていた家族という形態は、単身赴任していた父の帰宅で一気に明るみになる。と言っても気付いていなかったのは、父だけだけだった。目の前で犯される長女に、家出する次女、アル中の妻。一体何があったのだろうと狼狽する父。不良どもに占領された我が家で、彼は戦うことを誓う。しかし、どうにも思い通りの方向には進まなくて…。 山本直樹が提起した問題が一つの家族を舞台に、如実に表されている作品だと思う。最後に、ありがとうの意味がずっしりと胸に響く。(2003/2 蜜生)
*もっと壊れた結末を予想したのですが、案外ときれいにまとまっています。(雁98/8/17)
〜ある日の掲示板:「おすすめ短編」編〜(99/3/7)
そういえば、山本直樹忘れてた。連載やらなくなったんで、最近のこの人の作品短編ばかりなのに。ジャンルで言うとエロ系に分類される人かもしれないけど、この人の作品にはそれだけじゃない何かが確実にある気がします。最新作は短編集『学校』。学校を舞台に無数のストーリーが並列に進行する表題作も良いですが、個人的オススメは『ファンシー』。ペンギンの詩人を主人公にした(ペンギンだからSEXできない)シュールなお話です。あとオススメは連作短編になってしまうのですが、『君といつまでも』『夢で会いましょう』『フラグメンツI』。山本直樹が内田百閨iひゃっけん)たいな感じでエロやろうとしてじたばたしてたころの作品群です。ここ3〜4年くらいの発売なんでまだ入手可能でしょう。これ書くために山本直樹引っ張り出して読んだけどやっぱ良いわ。
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あさってDANCE 全7巻 情報・感想お寄せください
【出版社】小学館 【発表年】1989/9/1-1991/2/1【サイズ】B6版【その他】ビッグコミックスピリッツ連載/ビッグコミックス
【感想】
*森山塔名義でバリバリのエロ漫画家だった山本直樹にとって、その真骨頂はねっとりとしたセックス描写にある。そして作者はセックスの「痛み」を、作品のヒロイン達に義務付ける。繊細な線で描写される彼女たちはその痛みを享受し、男たちのダッチワイフとなることもいとわない。その細身で華奢な身体は、読む者に「痛み」を増幅させる装置だ。レイプまがいの暴行も受けるし、ゴムは当然つけないし、アナルセックスにだって応じてしまう。しかし彼女たちは大声をあげて事を荒たてることもなく、死んだ魚のような目つきでそれを受け入れる。
 しかし「あさってDANCE」では、常に挑発するのは女だ。この作品が山本直樹のどの作品よりもライトコメディーなタッチで描かれているのは、男性主導の呪縛から解き放たれたフットワークの軽さに起因する。性の被虐者だったオンナ達は、遂にその主導権を得た。いや〜、実におめでたい。
 寺山スエキチは、市民劇団に所属しながらアルバイトに精を出すフツーの大学生である。 そんな彼に、何と死んだひい爺さんの遺言で4億5千万の遺産が転がり込むことになった。しかしその条件は、スエキチが立派な社会人になって結婚してからというもの。そんな彼の目の前に突然現れた謎のオンナ、日比野綾。果たして彼女の正体は?単なるカネ目当てなのか?そこに愛はあるのか?な〜んてことをウダウダ考えながら、でも気持ちいいから結局綾ちゃんとセックスしまくるスエキチ君。物語は基本的にこの繰り返しである。
 俺ら男ってのは理性であーだこーだ理屈つけようとするから、「愛のないセックス」にもいろいろ理由付けしなきゃいけない訳である。「浮気は男の甲斐性」などという常套句は、性欲をロジカルに自己正当化する為に編み出された言葉なのだ(個人的にはこの言葉大ッキライなのだが)。しかしこのマンガを読むと、女は男より感情と体のバランスがいいって感じがする。「セックスしたい!」イコール「好き!」っていう単純な方程式が組み立てやすいんだろうな。スエキチ君なんかず〜っと「このオンナは金目当てだ!」とか言いながらセックスしているのは、根本的な自己矛盾を抱えているのであって、だから彼は全編にわたってサエナイのである。「俺はオマエを愛してはいないけど、セックスは大好きだ!」なんて言わせたら最高だったんだけどな。
 かつて「不健全なマンガ」として、過去の諸作「BLUE」が有害図書に指定されてしまったこともあるが、言ってしまえばセックスなんて全部不健全じゃん。別にそこに愛があろうが無かろうが関係ないのだ。ただひたすらセックスに励む動物的行為。山本直樹はそれを切り取るオブザーバーに過ぎない。(0204 RUI's UNDERGROUND HERITAGEより転載
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