No.298
筒井百々子 つついももこ *ファンサイト http://www.it.sakura.ne.jp/~s_iwa/Html/Books/Tsutsui/Tsutsui.shtml |
■□ある日の掲示板■□■(99/12/19)
□筒井百々子はクレヨン画のようなタッチが印象的ですね。これは後期の方(たとえば「空の上のアレン」)が顕著かな。ジャンル的にはだいたいSFかファンタジーで、「たんぽぽクレーター」のシリーズは近未来SFでESPもの。内容をひとことでいえば「やさしい」につきます。菩薩的な、「この世界からすべての不幸がなくなってみんながしあわせになれますように」という祈りのようなやさしさ。それは必然的にこの世の不幸や悲惨を描くことを伴うわけで、そういう意味で内容的に一番重いのが最初期の「たんぽぽクレーター」でしょう。これが現時点でこの人の最高の作品だと思うけど、内容の重さに気軽に読み返せないの
がつらいところ。というわけで、個人的に一番好きなのはじつは「小さき花や小さき花びら」だったりします。これもほんとはけっこう重い話なんだけど、最後の無限のやさしさに、ほとんど読むたびに泣いてしまいます。短編集の「1スウの銅貨」もいいですね。最後の表題作がやはりやさしさにみちています。これはかなり手に入りやすいです。大陸書房で出てラポートで再刊されたんだったかな。他にも「ものまね鳥シンフォニー」に「グレンデル星座」に……ああ、思い出したらうるうるしてきた(笑)。ただ最近作の「空の上のアレン」はじつはよくわからない(^_^;)。ちゃんと最初から読み返さなきゃと思いつつ……いけませんね、こんなこっちゃ。
(かぜはるか99/7/2)