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No.521
フレデリック・ボワレ
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ゆき子のホウレン草 全巻 (0205up)  情報・感想お寄せください 
【出版社】太田出版【発表年】2001年【サイズ】【その他】
【感想】
おそらくフレデリック・ボワレの名前を聞いたことがある人は多少いる鴨知れないが、単行本を読んだことのある人はそんなに多くないだろう。フレデリック・ボワレは日本在住のフランス人”漫画”家である。本国に帰れば”BD”作家、と称されるのかもしれない。けれど日本では彼の描くものはやはり”漫画”である。ストーリーは極めて日常的で、個人の私生活を除くような風情がある。内容はフランス人漫画家とそのモデルとの恋の行方、といったところだ。漫画家の視点から、モデルとそれを取り巻く日常の雰囲気、そして二人の関係をフランス映画のような趣きで、淡々と描写している。彼の漫画にスペクタクルはない。すべて、日常の誰もが体験するようなささやかなエピソードを、それも東京での生活感をベースに物語をつむいでいる。一見何の変哲もなくストーリーが進行してのだが、実は様々なところに作家のこだわりのコマまわしやディティールが隠されている。フランス人作家のエスプリといったところか。そしてストーリーは終盤で予想もつかない展開をみせる。これは意外すぎて、作家の力量の深みを感じた。世の中にはたくさんの漫画が存在しているが、こんな希有な漫画、漫画家ももっと認知されて良いと思う。一度、試しにご覧あれ!(2002/5 recommender)

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