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No.513
鬼頭莫宏 きとう 
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ヴァンデミエールの翼 全2巻 (0204up)  情報・感想お寄せください 
【出版社】講談社【発表年】 1 巻 発行1997/04/01)【サイズ】B6版【その他】アフタヌーンKC
【感想】
 これはねぇ、すごいの。表紙に一目惚れして買っただけあって、とても思い入れの深い作品です。なんというか、絵も話もすばらしいんです。
 自由って、何だと思います?この漫画では、「飛ぶ」ことが自由と直結されて語られます。それは、「天」(あるいは神)からの解放である、と。自らが、「天」と同じ位置に立つことによって、全ての束縛から解放される。つまり「自由」。ヴァンデミエール達は、最初から「翼」を持ってます。この漫画で語られるのは、ヴァンデミエール達が自らの持つ翼を意識し、自由を得るための闘争です。蝶の羽を持ったヴァンデミエールは、飛び方を教えてくれたウィルを助けるため、束縛を断ち切るために塔から飛び立った。飛ぶための黒い翼を手に入れたヴァンデミエールは、キンバリーを助けるために飛行船から飛び立った。そのキンバリーは、ウィルから飛び方を教わった少年だった。木の体のヴァンデミエールは、自らの体を燃やし、天に返すことで、新しい命を産んだ。天使の翼を持ったヴァンデミエールは、自らの内から自らの存在をつかみあげ、不要になった翼を自ら切り離し、旅立っていった。
 読者が考えなければならないのはここから。ひるがえって、人間の場合はどうなのか?重要なヒントが、作中に出ています。「神の言葉を捨てたとき、我らの前にひろがったのは空漠たる不安、深遠なる秘密。それは我ら自意識と無意識の確立の端緒。思考しなければならない、この混沌の中から新たな認識を引き上げる。」と、そして、ヴァンデミエールの最後の言葉は、空を飛ぶ旅客機を見ながら、「なんて力強い、大きな翼」というのです。きっと聞いてもわからないでしょう。読んでみて、考えてみてください。(0204 みっつくんの部屋"名作を読み返す"より転載)
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