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No.678
緑川ゆき   … みどりかわ*
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あかく咲く声 全3巻 (2004/5up)  
【出版社】白泉社【初版年】「LaLa」平成11年2月号初出【本のサイズ】B6版【その他】
【あらすじ】辛島は、一見地味で無口な目立たない少年だが、ある特別な才能をもっていた。彼の声は人間の耳に非常に心地よく響き、彼に命令されると大抵の人間はそれに従わずにはいられなくさせてしまうのである。彼の無口は、それが理由だった。また、辛島はその特殊な才能を買われ、警察の特殊組織に協力していた。同級生・国分佐和はそんな辛島に惹かれ、彼を追いかけていくが、辛島は余り他人を寄せ付けようとはしない。「いつ自分の欲望や、そういう暗い感情に任せて『声』を使ってしまうか分からないから」という恐れが、彼を臆病にさせていたのである。
国分は普段は控えめな少女だが、そんな彼に積極的に近づこうとする。
【感想】
(2004/5掲載)
緑川ゆきさんは、いわゆる画力があるタイプの作家さんではありませんが、独特の雰囲気がある個性的な作家さんです。特にモノローグの台詞回しが秀逸で、短い台詞で奥深いメッセージを込めるのが上手い方だと思います。
 「弱者であるが故に持てる強さ」で、頑なな辛島の気持ちを徐々にほどいていく国分もそうですが、他のキャラも魅力的です。辛島をわざとからかい挑発する「監視役」の坂本は、「辛島は卑怯な感じがする。何でもあの『声』のせいにしてしまえるだろ?」となかなか手厳しいことを言い、辛島が協力している警察機構の人間・川口は当時小学生だった辛島に「君はひとりでいることに慣れてはいけない」と、泣きたくなるような言葉をかけています。立場や方法は違えども、皆が彼の気持ちをさり気なく気遣っているのが伝わってきて、読後感も爽やかです。
 こういうマンガ家さんが登場したのが、個人的にはとても嬉しいです。これからも伸びていって欲しいと思います。(海望
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