No.189
相模なつき さがみなつきい *関連リンク先 募集中! |
ひとりにしないで ご意見ご感想お待ちしてます!
【出版社】集英社 【発表年】 【サイズ】新書判【その他】マーガレットコミックス
【感想】
◇■◇ある日の掲示板◇■◇
((99/6/20))
◆相模なつきのすごいところは、すごく実験的(?)なことを、しかし読みやすく意識されないようにやってるところにあるわけで、すごければすごいほど気付かれない、気付かれなければ気付かれないほどすごいといえるのではないかと。ですから彼女のすごさをきちんと認識するためには、ものすごく意識的・自覚的に読む必要があるだろう、と考える次第。(かぜはるか99/6/7)
((99/5/23))
◇まんが読んで腰抜かしたにゃんシリーズその2にして(現時点での)最終回です(^_^;)。モノは相模なつきの「ひとりにしないで」。というものの、これについてはまずは読んでみていただきたいのですが……。
なぜかというと、説明なしに読んだ人があることに気付くかどうかが個人的に気になっているもので……。
……。
……。
さて、読んでいただけましたか?(笑)
内容的にはわりと典型的な少女まんがで、タイトルのとおり片想いのちょっとせつない系の話が4本集められた短編集です。
ストーリー面ももちろんとてもいいのですが、ここでまず注目していただきたいのは、どの作品も通常の意味でのコマ割りがほとんどないという点です。少女まんがにはコマ割りの崩れているものも多いですが、ここまで徹底している作品は少ないんじゃないでしょうか。
さらに驚嘆すべきは、それにもかかわらず、非常に読みやすい、という点です。
ふつう一般的なコマ割りからはずれていくと読みにくくなっていくものですが、ここにおさめられている作品はどれもしごく自然に読んでいくことができます。ここまで通常のコマ割りから逸脱しながら、自然で読みやすいまんがを、ぼくは他に知りません(ご存知でしたらぜひ教えてください)。
もちろん少女まんがを読み慣れていない人は読みにくいと思うでしょうが、少女まんがを読み慣れている人ならば読むのに不自由はないだろうし、もしかするとコマ割りのことなんてまったく気付かないで読み終わってしまうかもしれません。
実際ぼく自身最初は気付かずに読んでいたクチで(ただたんにニブいだけかも(^_^;))、何度か読み返しているうちに「あれ?」と思い、びっくりしてしまったわけなんですね(だからまずは説明なしで読んでそれに気付くかどうかが気になるわけです)。
で、あらためてそういったことがらを気にしながら読み直してみると、セリフや独白、人物などが非常に緻密な計算のもとに配置されているのがわかると思います。視線が自然に流れた先に次に読む(見る)べきセリフがあり絵がある、だから読みやすいんですね。
そういう見方をすると、この本はまんが表現に関する非常に優れたテキストであるということもできるでしょう。実際、この本をもとにまんが表現に関する論文を書く、なんてこともできそうです。(かぜはるか99/5/20)
◆実は私は相模なつきが大好きです。ですから、相模なつきに自動反射します。
相模なつきは、私にとっては、とっても合うマンガ家さんです。合うっていうのは、面白いとかすごいとかあんまり思わないんだけど(それすらも落差だからか)、読んでも読んでも心地よい幸福感に浸れるというか。えっ、どうして、1作くらい好みに合わないとかこりゃダメだとかいうのがないのか不思議になってくるのです。もう何描いても許す状態になってしまいます。だから、根本的に合ってるんだと思っています。
だからといって、相模なつきの代表作をあげよとか、どれが一番面白かったかとか、人に勧めるのならどれとか、さっぱりわからない。だって覚えていないもの。
でも、コミックスの表紙を見るたびに、しあわせな気持ちがよみがえってきて、「私は絶対相模なつきが好きである」という確信を得ることができます。(表紙のカラーを見ただけで、もうメロメロというだけの話かもしれません)(TC99/5/20)
◇TCさん、すごいですね。いやあ、こんな熱烈な反応が返ってくるとは思ってませんでした。びっくりです。ぼくはTCさんほどに合ってるわけではないけど、でも「ひとりにしないで」あたりだと心地よいという感覚はわかる気がします。たぶんそういったものもねらってああいう描き方をしてるんだと思いますが。あとぱっと本を開いてページを見たときに気持ちいいってのもありますね。これもあの描き方なればでしょう。(かぜはるか99/5/20)