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No.585
島崎 譲  しまざき ゆずる
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覇王伝説 驍(はおうでんせつ たける) 全20巻 (2002/11up)  情報・感想お寄せください
SAGA〜島崎譲の世界〜 http://www.areasw.com/saga/index.htm
【出版社】 講談社【発表年】 1992年3月17日【サイズ】 新書判【その他】 現在、文庫版として復刻
【感想】
今やヒューマニズム・エッセンシャル漫画の権威と言っても過言ではない、島崎譲氏の大河作品。1991年から95年までの約4年間、週刊少年マガジンで連載されていた戦国絵巻。第1部全81話、第2部全85話。第1部は主人公・鳳驍が、故国を滅ぼした仇敵を討ち、戦乱の世を治めるべく天下統一に乗り出すまでの波乱の情景を描き、第2部は、鳳驍の子タケルが、暴虐の国王を倒すまでのアウトロー的感覚の物語。全話に共通するテーマは、物語の性質上・平和。そして、愛と信頼であり、第1巻の島崎氏コメントにあるように、価値観の多様化した時代に、一石を投じる作品としては、その基本テーマが実に大成し、今やその作風は他者の追随を許すとは思えないほどである。第一部の主人公・鳳驍は、優しさと慈愛を前面に押し出し、仲間の和をテーマに強敵に立ち向かうことで共感を覚え、第二部の主人公・タケルは、それに併せて、強さと猛々しさを表現、強大な権力に負けずに立ち向かう反骨精神が読む人を惹きつけると言える。ストーリー性は筆舌に絶えず、名言も数多く鏤められ、そのイデオロギーは10年以上立った現代においても十分通用する。ただ、システム的に考察すれば、大河作品で良くありがちな、全話を通じて矛盾点や空洞が数多く目立ち、第1部の矛盾・空洞箇所を、第2部のストーリーにおいて補い、更には第1部に印象強かったキャラクタの大幅刷新(死亡)という強硬手段に頼らざるを得なかった島崎氏の苦渋も見受けられる。ゆえに、読者層では第2部は第1部と比較すれば評価があまり芳しくないと言う意見が多い。個人的だが、この物語は、涙なくしては読めないし、時が過ぎて読み直しても飽きないのが不思議である。(2002/11鷹 嶺 昊)

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